着物とポーランド愛伝道師のポラ子です。
ブログで紹介していた「ポーランドの映画ポスター」展に行ってきました。
紹介記事はこちら。
見たことのある映画を中心に、印象に残ったポスターを文字のみでお伝えします。
図録を買ったのですが、中面はこういう場に載せてはいけないものですからね。
みなさんの想像力をかき立てられたらいいな〜。
ポーランド映画
〈尼僧ヨアンナ〉
グラフィックは何一つ使わず、タイポグラフィのみ。それも印刷というより石版のようなカスレのある文字。青字にスミ文字。そしてその文字は少し傾いている。
そのカスレと斜めの傾きが予定調和の一切ない「何か」が「起きる」ことをを感じさせる。
〈人形〉
余白をたっぷとったデザイン。その余白が貴族の矜持とも、主人公のボクルスキと貴族階級との隔たりともとれる。
そして余白とは、それ以外にフォーカスさせる効果がある。
よって双眼鏡で覗いている主人公と、覗かれるイザベラ嬢、タイトルに視線が集中する。色は白と赤と黒。主人公の顔の影に少しオレンジ。
日本映画
〈七人の侍〉(Siedmiu samurajów)
オークル系の地色に墨、青、赤、紫を使った線画の版画のようなイラスト。イラストのタッチと線が土の匂いと侍たちの力強さを感じさせる。日本では俳優の顔をきちんと出すから、まずありえないデザイン。こういうのを見るのは面白い。
こうやって公開されたのだと。
〈用心棒〉
これはかなり好きなデザイン。
ピストルと刀と赤い丸で構成されたデザイン。
ピストルだけで仲代達矢と分かるし、刀で三船敏郎と分かる。
〈日本沈没〉
オフィーリアのように水に浮かぶ女性の横顔のクローズアップ。に赤い丸が浮かぶ。
それだけでタイトルを表現。文字組はポーランド語をあえて縦組にしている。
地色は黒。
〈ゴジラ対ガイガン〉
ゴジラの吹く火がwifiのよな形で表現されてて可愛かった。
世界各国のポスター
〈就職〉
私はこのデザインがとても好き。チラシに載っていたものなのでブログでも紹介。
社会に出る準備が整っていない若者の不安な気持ちが、巨大な椅子と小さな人物に表されている
とパンフと展示では紹介されてます。確かに大きな椅子にチョコンと座る姿が所在なげです。横向きだから大きな椅子と人物の対比が端的に表現出来る訳ですが、それ以外にも、人物がここから動き出すのか、座り続けるのか、というアクションにも自ずと想像が膨らむので上手いなと思います。
〈ウエストサイドストーリー〉
これは意表をつかれました。まさかこう来るとは!!!
片足をあげる三人のポスターがお馴染みですが、まるで割り箸に墨をつけて描いたようなイラストという潔さ。これは凄いな〜。
〈醜い奴、汚い奴、悪い奴〉
日本未公開なので内容はわかりませんが、デザインが凄い。
人の顔が重なって虫になるという!!
このポスター見たら、映画見たくなる〜!
「お前は虫けら以下だ」という表現て本ではあるけれど、
これ虫になっちゃってるもの〜。どんだけ酷いの!!って期待しますよね。
〈明日に向かって撃て〉
言わずと知れたアメリカンニューシネマの1本。
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのデッサン調のイラストに血痕というシンプルなデザイン。見慣れたポスターと違うデザインを見るのは本当に面白い。
他にもヒッチコックの「めまい」「ロシュフォールの恋人たち」「昼顔」「燃えよドラゴン」など有名な作品のポスターもあります。
ぜひ、比べてみると面白いと思います。
まとめ
ポーランドのデザインや美意識って日本と近いものを感じます。マイナスの美学という点で。シンプルな色使いやデザインの中にハッとする斬新なテーマを盛り込むポスターだと思います。また詩的というか、ビジュアルで伝えられるところをあえて抑制した表現にしているようにも感じます。
伝えるのは最小限で見る側に想像の余地を残す。そう、小説を読んでいるような感じ。
ポーランドをモチーフにしたKIMONOのデザインの相談を前駐日大使に伺ったときも「ポーランド人は日本人の美意識に近いものがある」と教えていただいたのですが、まさにそれを感じる展示でした。
ちょっと画像少ないので最後まで読んでいただけないかもしれないけれど(笑)、ぜひ見に行って、知ってる映画のポスターとポーランド国内上映時のポスターと比較してみてくださいね。
展示を見てから、またこのブログを読んでいただくのもオススメです!
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
会期:2019年12月13日(金)-2020年3月8日(日)
観覧料:一般250円
どうぞお出かけしてね〜。
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