ポーランド映画祭2020パート2 デカローグを見てきた!

ポーランド映画

着物とポーランド愛伝道師のポラ子です。

今日もポーランド映画祭です。

1・2話だけになるけど「デカローグ」を観に来ました。

いつもどおり記憶で書いてるので、細かいセリフの表現などはおそらく違いますのでご理解くださいね。

【Jeden・1話】

冒頭涙を流す女性、モニタに映る少年。

それと別に差し込まれる男の顔。

なにやら、とても意味ありげなシーン。

 

場面は変わり、親子で腕立て伏せをするシーンで物語は始まる。

 

ある日パヴェウ少年は死んだ犬を見る。

父親に「なぜ人は死ぬの?」と聞く
父親:「がんとか事故とか」
パヴェウ:「死ぬって何?」
父親:「心臓が止まり血液が回らなくなる、それだけだ」

どうやら、父親は即物的というか、唯物論的というか、そんな人のようだ。

コンピューターの1と0からなる世界に美と完全なる調和を見出しているよう。きちんとプログラムさえ組めば出来ないことはないとでもいうように。

それに対して父親の姉は信心深い人の様子。
それは、パヴェウがその伯母に教会に連れて行ってもらう話をしているシーンなどでわかる。

大学で教えている父親と、その父を心から尊敬し、自分でプログラム(まだコード?くらいなのかもしれませんが)も組むパヴェウ。

 

ここから物語は大詰めへ。

 

ネタバレになるので詳細は書かないが、父親と伯母のキャラクター設定が見事。

見終わると、テーマを浮き彫りにしていることがわかる。

宗教を信じていないであろう父親も実は1と0のコンピューターの世界、数式の世界を信じている。

その態度は、実は伯母と変わらないというその皮肉。

合理的な父親が最後には数式ではなく、胸騒ぎに基づいて行動しているのが面白い。とても人間らしい。

自分が弾き出した数式は間違いだったのか?と不安にかられる父親。

 

こんな時、父親は祈らないのだろうか?

むしろ神も仏もないと思うのだろうか?

 

ここからはセリフは少なくなっていく。

余談だが、ポーランド映画の「プレイグラウンド」を思い出した。

これまで見たポーランド映画のまとめ その1(1本目〜10本目まで)
ポーランド愛伝道師のポラ子です。 明日はポーランド映画祭を主催されている方のお話を聞くので、振り返ってこれまで見てきたポーランド映画をまとめてみます。 1本目 リベリオン ワルシャワ大攻防戦 最初に見たのは2016年12月4日で新宿シネマー...

ラストで父親が星一徹のようにあるものをひっくり返す。

 

宗教や、この父親のような個人個人での信仰とは?
目に見えないもの(神や直感など)とは?

 

パヴェウが父親に質問した、命と命の終わり、魂とは?

 

ということを問われた気がした。

 

【Dwa・2話】
高層マンションの最上階に住む美しい女性。
いわくありげに窓の外を見ながら、落ち着きなくタバコを吸っている。

同じ集合住宅に住む医師の帰りを待っているのだった。

旦那が入院し容体が心配なようだが、この女性の様子が少しおかしい。

助かるかどうかを知りたい様子

????

普通なら何とかして助けてと言いそうなものなのに。

この辺りから、さすがポーランド映画!と思えてくる。何かこの女性にはある、と思わせるからだ。

と思っていたら、プログラムのあらすじに書いてあった!!

ネタバレなので一番下に貼っておきますね。

 

印象的だったセリフに「轢くんじゃなかった」というのがある。

この医師と女性は顔見知りのようなのだ。実はこの女性が医師の飼い犬を轢いた(確か

医師ではなかったように思うのだが)のだ。

医師から旦那の容態の答えがないので、先のセリフを言うのだ。

なかなかキツイですな〜。

 

この女性、ドロタはタバコを吸う。この設定なのも肯ける。
ただようタバコの煙が、まるでご主人の命の行方を思わせるようだ。

タバコは個人的には苦手だが、映像にした時の小道具としては優秀だと思う。

吸い方でキャラクターを演出できるし、吸う間だったり、灰の落とし方などで心境の描写も出来るのだから。

そう、この映画でもタバコの灰がこの医師とドロタの関係を物語るシーンがある。招かれざる客感が出ているのだ。

 

この映画で私が一番印象に残ったのは

ティルト(この場面では上からカメラを振る)から医者の赤く照らされた顔

赤い液体の入ったグラスに落ちる蜂

のシーンだ。

 

ここが痺れた。

このシーン、凄かった。

まじやられた。

何が凄いって、1番のクライマックスなのに、セリフで展開しないのだ。

 

1話もそうだが、肝心要のところはセリフが無いのだ。セリフで状況説明もストーリー展開もしない。

 

淡々と映像で綴るのだ。

これだけ詩が発展しているポーランドにあって、セリフに頼らないのだ
それが映像人のプライドなのか?

それとも映像なのだから映像で綴るのが当たり前だろ?
とあっさりとした態度なのか?

詩的な態度を映像に対してとると、こういう表現になるのかもしれない。
この辺も面白いと思う。

 

話を戻すが、1話では伯母と父親の2ショットで要のシーンは描かれ、今回は蜂のアップで伝えられる。

 

本当にたまらない。

1話が死を見つめ
2話が誕生をめぐる物語

この1話と2話のコントラストが素晴らしい。
同時に見ることで引き立てあい、視点の幅も提示してくれる。

本当に面白い2本だった。

【おまけ:今回聞き取れたポーランド語】

1話の腕立てのシーンで数を数えてるのはわかった

byłam などの過去形が今回は気になった

Kocham cię 愛してます

Po południu 午後に

Nie wiem, nie rozumiem わかりません

Dobre małżeństwo いい結婚

stół 机

czas 時間

dzisiaj, jutro,  wczoraj 今日、明日、昨日

こんなとこでしょうか。簡単な名詞は省略(机は書いたけども)

 

外に出るといい感じの雰囲気に。

と言っても今年は大きなツリーはありませんでした。

また来年のポーランド映画祭を楽しみにしています。
来年は記念すべき10回だそうです!

腰が痛くなるほど見てやりますよ〜。

本当に開催してくださってありがとうございます。

 

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