ポーランド愛伝道師のポラ子です。
今日もせっせとポーランド映画祭通いです。ポーランドの名画や新作に触れられる年に一度のチャンスですから。そこは駆けつけないと。
今日は「顔」と「メモリーズ・オブ・サマー」を鑑賞。
「顔」はテーマに惹かれました。それはアイデンティティとか、愛とは? という重いものだと思うのですが、主人公の元々のキャラクターなのか、描き方なのか、映画全体が俯瞰して見ている感じがし、風刺も効いていて不思議と重く感じませんでした。
冒頭のシーン(これは描き方)といい、悪魔払いのシーン(これは主人公のキャラ)といい、ラストといい、そう感じました。
それ以外では、ポーランドのことがいろいろ分かる映画でした。
- ブラックメタル(多分)が使われている事。
主人公が帰宅する時はおとなしめの曲になってました。全然詳しくないのですがBEHEMOTHというバンドがポーランドでは有名らしいです。メタルといってもデスメタルとか、いろいろジャンルがあるから、違ってたらごめんなさいね。 - クリスマスのオプワテック(Opłatek)を割って食べるシーンがある。
オプワテックは白いウエハースのような物で、お互いの幸せを祈りながら割って食べるようです。聞いたことはあるけど、これは見られて嬉しかった。 - ポーランドの世界一高いキリスト像が出てくる
リオデジャネイロよりも高いんですよ。知ってましたが、まさか映画に出てくるとは!
とても丁寧に描かれていました。ポラ子はとっても好き。重いテーマのはずの1本目より、こちらのほうが胸がしめつけられるようでした。
ピョトレック君の眼差しの演技がとにかく素晴らしいです。
ママ大好きという目。疑心暗鬼の目。落胆する目。
最後の決別とでもいうような視線。とにかく素晴らしかった。
ある日、出かけようとするママの白いドレス(ワンピース)にジュースをこぼしてしまうんですね。
これが葡萄ジュースなのか、ベリー系のジュースなのかはわかりませんが、とても寓意的に描かれています。
大好きだったママ(少年から見た清く美しいママ)がそうではないと映像的には伝えているかのようです。あれがオレンジジュースではダメなんですね。
また繰り返し映し出される小麦畑(?)の美しさ!
ピョトレック君がママとする遊びを、近所(?)のマイカともするんですが、このリフレインされる映像も良かった。
これは彼が大事な人とすることなんだ、とこちらに認識させるとともに、良くも悪くも刺激がない田舎ということも伝わってきます。
意外なドンデン返しもありましたね。
冒頭というか、ラストというべきか、一度この少年は死ぬのだと思います。ママを大好きだった自分から、大人になるための通過儀礼的に。大人を信じないというか、そんな大人にならないというか、なにか強烈な決別を告げる意思を、あの目に感じました。
女である母と、父であることを選んだ男と、自分を一度壊して青年へと向かう少年。
とても締め付けられました。
2本とも、ともて興味深く面白かったです。
恵比寿ガーデンプレイスのツリーなどを撮って満足して帰宅しました。
ポーランド映画祭もいよいよ来週の11/23日まで。会場にきて当日券で座席指定できます。ぜひご覧くださいね。
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