これまで見たポーランド映画のまとめ その2(11本目〜21本目まで)

ポーランド映画

ポーランド愛伝道師のポラ子です。

ポーランド映画祭を主催されている方のお話を聞くので、これまで見てきたポーランド映画を振り返りまとめてみました。その1の続きです。(※映画として紹介される時に、ポーランド映画ではなくとも監督がポーランド人なら含めています。映画館で見たもののみカウントしてます)

11本目 夜明けの祈り

2017年12月21日 新文芸坐
アンヌ・フォンテーヌ監督 2016年 フランス・ポーランド合作 

見た日のFacebookの感想
★☆★☆★☆以下ネタバレあり☆★☆★☆★

信仰とは、運命とは、と考えさせられる。

シスターのセリフがいい(なお、このシスター役の方、イーダに出てたらしい。ポラ映画祭で見ときゃよかった)。

修道院を救うべく奮闘するマチルダから信仰とは?と聞かれた時だったか、
シスターは「24時間の疑問と1分の希望よ」
と答えるのだ。

こんな会話ができるまで信頼関係を気づいた二人の女性の機微は、抑えた中にも表情などの演技によって丁寧に描かれている。

ラストの孤児院として機能しだした修道院と、病で寝た院長の対比が切ない。

 

12本目 早春 デジタルリマスター版
2018年1月14日 恵比寿ガーデンシネマwithユナイテッドシネマにて。
イエジー・スコリモフスキ監督 2015年
黄色いコート、緑の壁を赤く塗っていくなど、色使いがとても印象に残りました。ホットドッグを食べるシーンがオカシイ。

 

13本目 ユナイテッド・ステイツ・オブ・ラブ
2018年2月25日 高崎電気館にて。
トマシュ・ヴァシレフスキ監督 2016年

見た日のFacebookの感想

民主化後の女性たちを描いている。
他者と関わる難しさを感じる映画。
葬儀、教会での祈りのシーンが合間にあることで、際立つ日常の営み。二回見ないとわからないかもなー。

あるシーンがとても印象的に残ったのですが、台詞無しで人物の思いが伝わってきて、ポーランド映画らしいな、と感じました。

 

14本目 ゴッホ 最期の手紙

2018年7月29日 新文芸坐にて。

監督・脚本:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
2017年 イギリス・ポーランド合作

公式サイト

見た日のFacebookでは

回想シーンはモノクロで写実的なタッチの絵のアニメーションなんだけど、ピンを絞らない場面でも、わざとぼやけた絵で一瞬だったけど、その再現力が凄いと思った。タバコの煙も。
あとラストに近い所で、水をすくうシーンがあったんだけど、その表現が素晴らしい。

ついつい100人の画家の絵を書いてしまうけど、羅生門のように、皆が言うことが違い真相は?という感じ。

ガシェとの口論の末に、、、
殺人でも自殺でも結果は同じ。
ゴッホの気持ちは、、、 見に来て良かった。

 

15本目 水の中のナイフ
2018年11月10日 ポーランド映画祭にて
ロマン・ポランスキー監督 1962年。

登場人物は、裕福な夫婦と若者という3人のみ。

狭いヨットという空間での、年齢、社会的地位などのさまざまな対極する世界のせめぎ合いが描かれる。好意的に思わない相手でも、優位にたてる相手なら人は関係を持つことがあると思うが、若者をヨットに誘ったのはまさにそれ。船長(映画内ではこの言葉ではないが)が絶対ということを若者にたたき込もうとするが、逆立ちしても優位にたてない“若さ=ナイフ”に次第に心乱れていく夫。見終わるとタイトルが腑に落ちる。モノクロならではの陰影の美しさ、音楽の良さも際立つ作品。

と今頃思い出して書いてみました。詳しくは別投稿をご覧ください。

いよいよ開幕、ポーランド映画祭!イエジー・スコリモフスキ監督の舞台挨拶
ポーランド愛伝道師のポラ子です。 今日もせっせとポーランドイベント。待ってましたポーランド映画祭。 恵比寿ガーデンプレイスにある東京写真美術館にて開幕しました。 11月10日午前10時15分の回にイエジー・スコリモフスキ監督が登壇されるので...
16本目 マリア・スクウォドフスカ
2018年11月10日 ポーランド映画祭にて
マリー・ノエレ監督 2016年

キュリー夫人の悩みながらも、バッシングを受けながらも研究を続ける毅然とした態度が描かれる。子供を生み、夫を亡くし、恋をし、二度目のノーベル賞を受賞するまでは、わずかに6年だそう。

100年たち、どれだけ価値観は変わったのだろうか、と考えさせられる。

 

17本目 顔
2018年11月17日 ポーランド映画祭にて
マウゴジャタ・シュモフスカ監督 2017年
ブログに既に書いていますが、一部引用します。
 
「顔」はテーマに惹かれました。それはアイデンティティとか、とは? という重いものだと思うのですが、主人公の元々のキャラクターなのか、描き方なのか、映画全体が俯瞰して見ている感じがし、風刺も効いていて不思議と重く感じませんでした。

と書いたもののそれが却って主人公の誰にも立ち入れない傷にも映ります。
顔とメモリーズ・オブ・サマーは、こちらに書いてます。良かったらどうぞ。
アダム・グジンスキ監督 2016年
上記のブログで既に書いてますが、印象的だった事を再度掲載します。

ピョトレック君の眼差しの演技がとにかく素晴らしいです。ママ大好きという目。疑心暗鬼の目。落胆する目。最後の決別とでもいうような視線。とにかく素晴らしかった。

 

19本目 ピウスツキ・ブロニスワフ ~流刑囚、民族学者、英雄~
2018年11月18日 ポーランド映画祭にて
ヴァルデマル・チェホフスキ監督 2016年
とにかくアイヌの文化を映像と音声を残してくれたこと、それを残す意義を知っていてくれたことに感謝したい。民族の文化を残すのに言語がいかに大事かを知っていたシュラフタ階級出身だったからこそだと思います。記録して残す行為そのものだけでなく、その意義まで残してくれたピウスツキ・ブロニスワフさん。これからも関心を持ち続けたいと思います。

 

20本目 ムーンライティング
2018年11月23日 ポーランド映画祭にて
イエジー・スコリモフスキ監督 1982年
なんとブログに書き漏れていました!!!
イギリスに不法滞在する4人のポーランド人を描いているが、もちろんそれだけでは終わらない。ポーランドに起こっていることをひた隠しにするノヴァクとその他の3人が、まるで当時のポーランド社会の縮図であるかのようだ。

 

21本目 チェコスワン

2018年12月2日 東京都写真美術館ホールにて。

アレクサンドラ・テルピンスカ監督 2016年
予告を見、チラシのコピーで既に見る!と決めました。
日常の仕事や悩み、健康の不安を抱えつつ、みんなで過ごす時間を何より大事にするおばちゃんたち。だからこそ踊る仲間との時間は食べて笑って、自虐ギャグも言い日常を笑い飛ばす。そんな人生巧者のおばちゃんと、美しいバレリーナの嫉妬も時にはある生活と踊りの違いが映し出されます。しかし人生は、おばちゃんもバレリーナも良いときも悪いときもあるのは同じ。その同じという視点がやさしく感じられてとても素敵な映画でした。

 

まとめ
という訳で、監督がポーランド人ならポーランド映画とくくるとすれば21本見て来ました。
3月には群馬の高崎映画祭でもポーランド映画が上映されるようですので、ぜひ参加したいと思ってます。
みなさんもまず見て感じてみてください。
なかなか映画館に行けないという方は、こちらのサイトで1本350円でPCやモバイルで見ることができます。2日間10回まで再生可能ですので、よければ一度サイトに飛んでみてくださいね。(ポーランド映画はアンジェイ・ワイダの世界、イエジー・スコリモフスキの旅路、最新ポーランド映画傑作選にあり)
私は映画館で見たいので、再度見たい時に利用しようと思います。
ポーランド映画は見ている側に問題をなげかけてくるタイプが多いですし、ズドンときます。それだけに考えさせられ、得るものも大きいと思います。
一人でも多くの方に2019年のポーランド映画祭に参加して欲しいと思います。

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